2012年5月14日月曜日

5月13日北海道武専 昇格試験 村谷満拳士、早坂愛梨拳士、竹房薫稀拳士 がそれぞれ合格

合掌
5月13日日曜日は、滝川道院の村谷満拳士、砂川道院の早坂愛梨拳士、竹房薫稀拳士の三人にとって生涯の思い出深い一日となったことであろう。

村谷拳士は、数年前に60歳で初段に合格した女性拳士の荒木拳士の新聞記事を見て自分にもできるだろうかと思い、挑戦して見ようと入門して来たのを昨日と事のように覚えている。
還暦を過ぎてから少林寺拳法を始めるのには実に勇気が入ったことであろう。
若いうちから少林寺拳法を始めたのとは自ずと大きな違いがある。
ボイラーの仕事の関係で夜勤明けの土曜日の朝の稽古しかできない状況であった。
それだけに柔道の経験があったとはいえ、少林寺拳法の学科実技のカリキュラムからして大変な3年間であったとことは言うまでもない。
自分より若い拳士と同じようにはいかなかったかも知れないが、長時間かけ人一倍の努力をしたのである。
ここ二ヶ月の間に火曜日の砂川の専有道場の稽古に来て、早坂恵副道院長と演武の稽古を行い試験の準備を行ったのである。年齢による格差は埋めることができないのも仕方のない事である。
また、滝川クラブの稽古では、竹房朋絵拳士(母親の方)を始め、酒井克彦拳士、小林優輔拳士、鈴木貫太拳士等と何度も何度も稽古をしたのであった。
相手をした拳士諸君は、中学生大会、高校生大会に臨む稽古の時間を惜しむことなく相手をしてくれたのである。
拳禅一如、組手主体が稽古中に醸成されたのは言うまでもない。

早坂愛梨拳士、竹房薫稀拳士の二人も昇格試験を受けるに当たりおよそ3ヶ月の本格的準備期間を設けた。
当初は私の厳しい叱責を受けたのは仕方のない状況であった。
二人とも最初は昇格試験の何たるかを理解してはいなかったのである。
しかし、二人には素晴らしい母親がついていたことを皆も承知の通りである。
母親二人は既に有段者であり、武専の学生でもある。
この二人の度重なる指導と、澤田友季子拳士の指導の下に着実に技術、思考も徐々に変化していったのは言うまでもない。

5月20日の中学生大会に出場予定の鈴木貫太拳士、三浦広大拳士(足の骨折の関係で稽古を満足にできなかった。)、6月17日の高校大会に出場する小林優輔拳士、早坂大樹拳士等の単独演武の稽古と並行して、昇格試験の稽古が行われたのである。
火曜日、水曜日、金曜日、土曜日の彼等の稽古中の小演武会と称しての技術披露は日を追う毎に上達していった。

村谷拳士も既に技量的に十分な拳士を相手にして、引っ張られて上達していったのである。
少林寺拳法のカリキュラム、また年齢を判断して受験しなければならない時期であったと本人も私も判断したことに間違いはなかった。
当日の試験の相手が技術のうまい拳士と組むことが出来れば問題はないまでになった。
少林寺拳法の学科は、晩年期の年齢に少林寺拳法を始めたことを斟酌したとき、今の問題でも難しすぎることは明白である。しかし、それを乗り越えてこそ達成感を味わえることとなる。

今後、コース制の中でこうした高齢者の試験に対する方策も考慮していく事が必要であろう。
往々にして、少林寺拳法の高段者が陥る事として、自分自信の過去の経験を全く人づくりに活かされないことにある。
自分の技術の未熟さを忘れ、相手に指導と称して全く相手に受け入れられないことを強要することである。
先日川島部長が深川に学生合宿の指導に見えた際、私も一つの提案をした。
道院長研修会等において、道院長に対する資格審査を定期的に実施してはどうかということである。全く汗のかかない指導者、技術の修練を怠る状況を打破するためにも日頃からの緊張感が必要であると伝えた。
立合い評価法において審判をする者が全く乱捕りをしたことがなければ、本当の意味で審判をすることは困難であるからである。
演武にしても大会等の演武経験のない者が審判をしても同様である。
修行の年月以上にその質が問われているのである。
指導者然としている者には、門下生、拳士諸氏は直接その不信を言わなくとも拭えない事実を受け止めねばならないことは言うまでもない。

然るに、長い年月を少林寺拳法の世界にいた拳士は、謙虚にこうした高齢入門者に対する対応を判断する事が宗門の行としての有り方を問われている事を努々忘れなきようにしてもらいたいものである。

昇格試験においては何が起こるかわからないものである。
今回、村谷満拳士の相手となった甲斐先生の門下生の拳士も合格されたのであるが、甲斐先生、また野坂理事長と共に、私も本部委員としての慎重な対応を協議した。
試験が人を育てるためにあるのであり、試験が人の自信を失わせるものであってはならない事を、私は考試員審判員講習会の際に伝えたのである。

甲斐先生の若い門下生は、試験に合格しましたといって、役員控え室に入って来て嬉しそうに報告したのを見て、また、甲斐先生に促されて私にも挨拶をしてくれ、握手をしたときに思わず目が潤んだ。

試験は厳しく採点は思いやりという事は、人を育てるのに寄与するかどうかにかかっていることも忘れてはならない。

拳士の技術の差はあるのは仕方のない事である。
それだけに、道院長を始め指導の先端に立つ者は自分の過去を振り返り、今を真剣に汗をかき稽古に励むことで真の人づくりとは何かに思いを馳せようではないか。

武専では、研究科1年を担当した。
コース制の指導資格者は野坂先生と私だけであり昨年は野坂先生が担当された。
今年は私の番であるというわけである。
女性のための、マイステップコースの学習の1回目を指導した。
8ビートにのって他の学生が知らない世界をつくったのである。
有酸素運動とも言える誰にでもできそうな動きを十分に理解してもらえたのではないか。
本来の武専の技術指導としては、上受突の表裏、圧法、丁字投等を実施した。
しかし、コース制の動きに押されたのが偽りのないところである。
このコース制の意図するところを十分理解してもらう一年であることを期待したい。
学生の研究に掛かっているのである。

5月17日は中学生大会であり、会場は東野幌体育館である。
三浦広大拳士、鈴木貫太拳士の二人は出場する。
三浦拳士は、入賞の常連であるが、鈴木拳士は今年はどうであろうか乞うご期待!
先週とこの週は彼等の修学旅行があり、大変な週であることは言うまでもない。

今回初段に合格された拳士は、この経験を他の後輩に伝える義務を負ったことを忘れてはならない。

真新しい黒帯を締めて、苦労を重ねる中に喜びを感じてもらいたい。

合掌再拝 池上治男

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